産科学補習講座・15
Rh不適合
品川 信良
1
1弘前大学医学部
pp.51-56
発行日 1970年2月1日
Published Date 1970/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203886
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細菌,ウイルスなどが私たちの体内に入ると,生体の防禦機転の1つなのであろう,これらを中和ないしは破壊する物質が体内に作られる.これを抗体(または免疫体)という.また,さきに体内に入って抗体産生の原因になったものを抗原という.この種のことは細菌やウイルスに限らず,種々の蛋白質,たとえば赤血球などが非経口的に体内に入ったときにも起こりうる.
ところで,ある種の抗原や抗体は,生まれながらにして私たちの身体にはそなわっている.そのよい例がABO式の血液型である.すなわち,A型のひとの赤血球には抗原(または凝集原)Aが,B型のひとには抗原Bが,またAB型のひとには抗原AとBとが生まれながらにして含まれている.これに対し0型のひとの赤血球には,ABO式に関する限り,抗原は含まれていない.またA型の血漿のなかには,抗体(凝集素)βが,B型にはαが,O型にはαとβとが含まれているが,AB型のひとの血漿には抗体は含まれていない.ここにABO式血液型の適合不適合が生じてくるわけである.
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