特集 血液型不適合妊娠
Rh式血液型不適合に基づく溶血疾患と核黄疸—病理学的な立場から
神部 誠一
1
1大阪住友病院臨床病理部
pp.18-21
発行日 1971年6月1日
Published Date 1971/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204146
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はじめに
胎児赤芽球症と呼ぶ,胎児または新生児の溶血性疾患の中で,Rh式血液型不適合に関する限り,日本人は白人に比べて遙かにその数が少ないことは幸である。この異常の血液型は,メンデルの優生遺伝の法則にしたがって子孫に伝わる。後述する核黄疸という中枢神経の重篤な病変は,胎児赤芽球症の合併症として一般の関心が高いこともよく知られている。
胎児赤芽球症児の臨床所見に現われたいくぶんの相違は,主として抗原抗体反応が胎児体内で,どのような強さで,また妊娠のいつごろの時期から始まったかという問題に左右される。反応が,かなり強く,また出産の数力月以前という時期にすでに始まっている時は,胎児内の赤血球の破壊は進んでおり,したがって高度の貧血が発生する。
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