南米助産紀行
治療医学以前の状態
猿渡 清子
1
1東京医科大学病院産院
pp.55-56
発行日 1967年9月1日
Published Date 1967/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203459
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多かれ少なかれ,各移住地には迷信が横行し,祈祷によって,病気を追うような状態であった.分娩後の母親の死亡もかなりあり,あまりの驚きで表現しがたい状態であった,分娩道具の設備もなく,そのため出産直後の臍帯切断に,消毒不徹底なもので切断しており,臍感染による児の死亡も見受けられた.
ある移住者は巡回指導の際,右下腹部の圧迫痛などの自覚症状を訴え,医師の診断で卵巣嚢腫といわれ,加療.そして,当移住地には,毎年,サンパウロから巡回診療団がくるそうであるが,ぜひ助産婦による保健指導をと訴えた.また,他の移住地に行っても同意見で,今後の巡回診療のあり方について,考えてみることにした.
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