特集 全国助産婦学生研究
—新潟大学医学部付属助産婦学校—分娩時出血と無(低)線維素原血症
山口 貞子
pp.47-50
発行日 1967年5月1日
Published Date 1967/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203395
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はじめに
妊産婦死亡の原因として出血がその第2位を占めていることは周知のとおりである.しかし,ひとくちに出血死といっても出血原因や地域別,あるいは分娩の場所などから検討した場合,さらに多くの研究,改善の必要があるものとして最近注目されている問題である.品川は弘前地方では分娩第3期の異常出血が多いばかりでなく,よく実情を調べたところ,出血で死んでいる妊産婦の方が全国的に妊産婦死亡の第1位を占めているといわれている妊娠中毒症によるものよりも多いと報告し,さらに血液凝固学の立場から出血の問題を分析している.もっとも実際には出血による,あるいは妊娠中毒症による,と確然と分けることのできないような症例も多々あるようであるが,いずれにしても出血ということが血液凝固学の立場から,最近とくに検討されつつある.著者は最近,無(低)線維素原血症で死亡したと思われる1例を経験したので,これをもとにして分娩時出血と無(低)線維素原血症について考察を加えてみたい.
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