現代のカルテ
りばいばる
野口 肇
pp.48
発行日 1966年6月1日
Published Date 1966/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203212
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ことしは作家の夏目漱石の生誕百年にあたり,いくつかの全集が発行され,遣品展など漱石ブームを呈しています.漱石は1867年生まれで,旧年号でいえば慶応3年から大正5年まで,53歳の短かい生涯でした.いうまでもなく漱石は近代日本文学の確立者,その「坊ちゃん」「わが輩は猫である」など代表作は,日本人なら小学生まで知っている最高のベストセラーです.生誕百年にさいし漱石のエラさ,わが国のもっともすぐれた頭脳が何を考え,何を悩んだか,改めてふりかえるのは,おおいに意味ぶかいことです.
漱石リバイバルならまずだれも文句はない.だがこれにつれて昨年あたりから急に話題をにぎわした明治百年をめぐる論争はいただけません.とくにいまウルサい議論をかわしあっているのは,その明治百年は正確にいく年にあたるか,専門家のあいだに定説がない点です.
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