--------------------
わが国における新生児管理の現況と新生児哺育業務
久保 博
1
1国立東京第二病院産婦人科
pp.26-31
発行日 1966年5月1日
Published Date 1966/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203185
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
わが国におきましては新生児哺育の重要性に対する認識が比較的薄く,新生児は褥婦の付属物視されており,独立した人間としての入院が認められておりません.そのため病院管理の面からも困ることが起き,さらに医学的立場からも十分な健康管理ができにくいこともあります.ご承知のように新生児は母の胎内から全然環境の異る外界に出てくるのでありますから,その生活環境の変化ははかり知れぬものがあり,その変化に順応して生命を保持する努力は大変なものであります.健康新生児は一般の意味における病人というわけにはいきませんが,成熟児といっても未だ身体的に十分に完成しておるとはいえず,特別の状態にありますから特殊の健康管理のもとに哺育されることが必要なのであります.人間として誕生した新生児を健康に成長させることは健全な第2の国民を養生するため最も大切なことで,人づくりはまず新生児の哺育からといっても過言ではありません.しかし新生児に対するわが国の医療制度や施設の機構などにはかなり問題があります.日本産科婦人科学会社会保険委員会におきましては,新生児対策の重大性に鑑み新生児(未熟児を除く)管理の現況を調査しました.調査範囲は官公立病院(大学病院を含む)321,私立病院274,医院・診療所167,計762の施設を日本産科婦人科学会会員名簿より無作意に抽出しました.
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.