特集 婦人科領域のAndrogen
前熟児の哺育とandrogen
佐々木 壽男
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科教室
pp.1119-1127
発行日 1955年12月15日
Published Date 1955/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201299
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まえがき
生活力の薄弱な新生児殊に前熟児(Premature Infant)に対する哺育は非常に困難で,死亡率も極めて高いことが各種の統計で示されている。これに対して従来はブドー糖・インシユリン療法,ビタミン療法,ホルモン療法(estrone,腺垂体ホルモン((脳垂体前葉ホルモン))等)など種々の治療が行われたが,何れの方法も効果は必しも良好とは云えなかつた。
しかるに最近Korenchevsky1)2),Kechakian等3)−5)によりAndrogenには蛋白質の同化作用があることが発見され,続いて Warren等6),Querido等7)により同時に水分の蓄積促進にも働くことが判つたので,現在ではAndrogenのこれらの作用が種々臨床面にも応用されるようになつて来ている。例えば病後及び手術後の全身衰弱,癌悪液質等の如く組織蛋白質の分解・消粍が著しい疾患に蛋白質同化作用の顕著なAndrogenを投与することは合理的な処置であると考えられる。
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