講座
最近の新生児哺育
宮崎 叶
1
1愛育研究所小児保健部
pp.7-12
発行日 1957年6月10日
Published Date 1957/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201430
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まえがき
理想はどうなろうと,現在のところ保健所勤務の保健婦が,新生児をケースとしてつかむまでに,赤ちやんが生まれてから,1週間か10日位かかるのが普通である.公衆衛生的には,新生児期は,赤ちやんが生まれて4週間の期間と定議されるから,生後10日過ぎたものも,新生児の保健指導ということはできよう.併し,新生児の問題は,今まで母胎内に手厚く保護されていた胎児が,環境の変化の激しいこの世に生まれて,自分で呼吸,消化,体温保持等をしていかなければならなくなつたために,色々の事故を起し易いところにあるのであつて,生後10日以上もたつてからの指導では余りにおそすぎる.
新生児の把握がおそいのは,保健所の乳児指導の重大な弱点なのであるから,保健婦はあらゆる手をつくして,出生当初から新生児と接触を保つように勉めるべきである.勿論保健婦の目ざすのは,大局的な新生児の保健の推進であるから,必しも個々の新生児を出生直後から直接指導する必要はない.直接自分でしなくても,信頼し得る助産婦と協力することも,母親教室の教育内容に正しい新生児の哺育活動であろう.
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