研究
妊産婦の心理
古賀 千鶴子
1
,
山本 マス子
1
1九州大学医学部付属助産婦学校
pp.29-33
発行日 1965年9月1日
Published Date 1965/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203039
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1.はじめに
近代医学の進歩は目覚ましく,とくに化学療法の発達で,感染症による死亡率の減少は目を見張るものがあります.しかし一方においては,社会的機構の複雑化により発生する神経症などの予防や,分娩にたいする不安や恐怖の除去など,精神医学の問題は,前述の化学療法ほど進歩したとはいえないように思われます.中でも分娩にたいする恐怖の除去ないし緩和は,ごく一部で無痛あるいは和痛分娩という方法でおこなわれておりますが,一般化しておらず,大部分旧態依然として何等特別の処置をおこなわずに妊産婦の苦痛,すなわち陣痛は,一生命誕生の当然の過程と考えられていることを痛感いたします.
そこで私たちが日常看護を行なうとき妊産婦の不安や苦痛などをいかにしたら緩和できるかという問題にたいし,妊産婦の心理を熟知して彼女らの不安を除き,欲求を満してあげることがその解決方法の一つではないかと考えます.
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