連載 育児相談・7
発育・成長に関する育児相談
高口 保明
1
1神奈川県立栄養短期大学
pp.49-52
発行日 1965年7月1日
Published Date 1965/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203010
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正常児の発育相談
成長発育に関係して両親たちが述べる訴えは,「目方が足りなくないか」とか「成長が遅れていないか」とかいう気がかりや心配と,「小さい,もっと大きくならないか」という不平不満との2つの分野に分けられる.
しかし,このような発育に関する訴えとして相談されることは割合少なく,とりわけ,乳児期では,たいがいは食事上の問題となって姿を現わしてくる.われわれのクリニックでも,「母乳が足りないのでないか」とか「ミルクの飲み方が少ない」というのが主で,表面切って目方が足りない」とか「やせている」という心配は,5対1乃至10対1であった.これは母親たちの関心が強く食事に傾いていることの現われで,彼女らの本当の心配は身体の発育や栄養状態の不良であるはずなのに,それを飛びこえて,もう一つ先の現象である食べ方の多い少ないの方へ行ってしまうのである.ところが,発育不良の原因は必らずしも食事とは限らない.
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