連載 私は赤ちゃん・3
オボチャ
田村 昭子
1
1元:東京警察病院
pp.52
発行日 1964年7月1日
Published Date 1964/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202795
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ボクの好きなものにオボチャがある.大きい特製のタライを持ち出してオボチャの準備にかかる.ボクは熱湯好きだ.だからママはいつも熱めのお湯を,熱めのミルクを用意してくれる.しかし少し熱過ぎるお湯をかけられることがある.だがこんなことでは決して泣かない,男のコケンにかかわるから.
まず顔と頭を洗ってくれる.鼻の穴と,耳の中へ変んなものが入ってコチョコチョと動く,どうも気持のよいものではない.そろそろパパの冷い手がくる時である.「パパお願いします」ママは重いボクを一人でなかなかもち上げない.パパかおばちゃまが必ず飛んでくる.「よしきた」と腕をまくるまではいいがいきなり冷い手がひやりとくる。「一度暖めないと赤ちゃんが可哀想よ」とママがいってくれる.最後にひっくり返されて背中の番だ.ママが夢中になってぎゅうと抱くので,のどのあたりが少々くるしい.もう少し我慢すれば終りだ.バスタオルの上に真裸で大の字に手足を伸すときの気持のよいこと.やはり湯上りのサッパリしたときはゴキゲンだ.
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