連載 私は赤ちやん・5
日光浴
田村 昭子
1
1もと:東京警察病院高看学院
pp.30
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202824
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ボクと同じぐらいに生まれた近くのノブヒト君は,いつもママの背中にのって,お掃除をしたり洗濯物を干したりしている.だから少しぐらい風に当たっても平気だといっている.人一倍重いボクは,おばあちゃまには抱いてもらえないし,ママは日曜以外はお仕事があるし,外へでるチャンスが少ない.だから少し外へでて風に当たるとすぐクシャミをしたり,セキをしたりする.おまけに肥っているから,セキをしはじめると,ノドがゼイゼイいう.日光浴でもしてくれれば解決する問題だと思っているが,おばあちゃまは「この子はかわいそうに小児喘息だよ.ジャガイモのスープは喘息によくきくから飲ませればいい」というし,パパは「一度精密検査をしてもらったほうがいい」といいだす.ママはすまなそうに,日光浴を始めればいいのよといってくれた.
赤ちゃんドックの日,先生はおっしやった.「色が白すぎますよ.よく肥っていい赤ちゃんです.どこも何ともありませんよ.日光浴を始めましょう」と.そしてママに「あなたは日光浴のやり方は分っているでしょう」「ハイ」とママはたしかにいったはずである.しかしそのつぎの日から天気はくだり坂,くもり,雨,風である.「10時から2時頃が一番いいんだし,やったりやらなかったりでは意味がないから,やっぱり私がやめてから始めるわ」となかなか実行にならない.それでいてママが小児科にいたころは「日光浴は冬こそ必要なのですよ.
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