インターホン
人間誕生の感激,他
岸 英子
1
1東北大学医学部付属病院産婦人科
pp.44-45
発行日 1964年7月1日
Published Date 1964/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202790
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臨床実習,講義,分娩介助実習と目まぐるしかった助産婦学校生活とも別れを告げ,今は学生としてではなく,一社会人として職場に立つ身となりました.
先輩諸姉に教えられながら学んだ臨床実習,あらためて産科学および関係諸学科の広さと深さを再認識させられた講義,そして,何といっても忘れられないのは分娩介助実習です.出産を前に1時間,10分,1分と緊張した雰囲気の中で無事安産,児の第1声を耳にしたとき,私は産婦への祝言も忘れてほっとしたものです.模型実習と異なり,手をはね返すような娩出力,無我夢中になり汗びっしょりになって介助し,御立会の先生から"ポッポちゃん"などとからかわれたことが,つい昨日のように思い出されます.母親よりも,父親よりも先に赤ちゃんを抱きあげるこの感激,人間の誕生の神聖さは助産婦ならでは味わえぬ生への喜びではないでしょうか.
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