らいぶらりい
—中野 博光著—みんなで育てよう—ふみちゃんの育児日記/—阿部正和・高橋シュン編集—腎臓病患者の看護—病態生理から生活指導まで
長谷川 泉
pp.44-45
発行日 1964年1月1日
Published Date 1964/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202682
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本書は「読売新聞」に500回以上にわたり「育児ノート」を連載して好評を得た著者が,そのしめくくりの意味も含めてまとめた啓蒙的な育児書である.「育児ノート」を機に,全国から寄せられた数百通に上る投稿——それは現在子どもを育てることに苦慮している父母や,また過去に子どもを育てた切実な体験を持つおばあさんなどの希望や意見や悩みなどが十分にとり入れられ,消化されて平易な表現となったものである.
副題としてしるされている「ふみちゃんの育児日記」でわかるように,本書はふみちゃんという新生児——生まれた時の体重は2.9キロ,身長49cm,したがって標準よりはいく分小さい女の赤ちゃんの出生前から小学校にはいるまでの問題が手ぎわよく,歯切れのよい文章で解かれている.本書は2部からなり以上の部分が第1部ともいうべき「みんなで育てよう——ふみちゃんの育児日記」である.第2部は「ママと小児科医」として,ふみちゃんを離れ,いろいろの年齢層のいろいろの子どもをとりあげて懇切に説いたものである.著者は京大小児科教室の出で,大阪北野病院に勤務したほか,大阪市立大助教授,児童保健研究室勤務,相愛短大講師などをへて,中野小児科院長となり診察に従事しているだけに,素材は十分にかみくだかれて豊富であり,新しい育児の実際をわかりやすく懇切に解説しているところに特色がある.
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