特集 新生児と未熟児の問題
未熟児栄養の特殊性
山下 泰正
1
1新宿赤十字産院小児科
pp.50-54
発行日 1962年4月1日
Published Date 1962/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202310
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はじめに
近年,わが国の乳児死亡率は,いちじるしい減少がみられてます.すなわち,昭和22年の死亡率は76.7といちじるしく高率でしたが,その後順調に低下して,昭和33年には34.6と半分以下に減少しています.しかしこれを諸外国,たとえば北欧諸国の20以下,英米の25〜26台と比べますと,まだわが国の死亡率の高いことが痛感されます.いま,この乳児死亡率の内容を原因別に検討しますと,半数以上が未熟児による死亡で占められています.したがつて,現在の乳児死亡率をさらに欧米の線にまで低下せしめるためには,必然的になるべく未熟児が生まれないように,また,生まれてきた未熟児の死亡をいかに減少させるか,といつた点に重点がおかれなくてはなりません.
わが国においても,ようやくこの方面の関心がいちじるしく高まり,いろいろの研究がなされてまいりましたが,いまだ未解決の点が多く,今後の研究が期待されます.
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