助産婦と小児外科との間
外科医の立場から—先天性腸閉鎖症の1手術治験例をめぐつて
森田 建
1
1日本大学若林外科
pp.50-53
発行日 1962年1月1日
Published Date 1962/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202266
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従来は,生まれたての赤ちやんのお腹を切つて手術するなどとは,とんでもないと考えられており,現在でもそう考えられている方がすくないと思われます.しかし,ここ10〜15年間における医学の進歩はみなさまもご承知のようにめざましいものがあり,これらの医学の各分野における進歩によつて「小児外科」という,小さな子供の手術的療法を専門とする新しい分野がひらかれ,最近では新生児に対しても開胸,開腹といつた大きな手術がおこなえるようになつてきているのであります.
しかしながら,「小児外科」というものは外科医のみがいくらがんばつてみても発展,進歩するものではありません.すこし大きな小児については小児科の先生にご協力をお願いしなければなりません.新生児の外科については,産科の先生方や助産婦のみなさま方のご理解とご支援とをいただかねばなりません.わが国においては分娩総数の約7割までが,助産婦の方の介助によつてなされているとされておりますが,この現状を考えてみますと,わが国の新生児外科の第一線は助産婦のみなさま方が主翼をなしておられるといつても過言ではないと思われます.論より証拠で,ここにのべます症例は,このような助産婦と小児外科との関係をしめす良い実例といえましよう.
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