助産婦と小児外科との間
小児科医の立場から
青柳 洋一
pp.48-49
発行日 1962年1月1日
Published Date 1962/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202265
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学生のころ,乳児の三大死亡原因は先天性弱質,肺炎および下痢腸炎と教わつた.そして現在もこれは一応の真理ではあるが,肺炎と下痢腸炎は抗生物質の発達にともなつて減少傾向にあることは,一般の人にとつても常識にまでなつてきている.最近の小児科医が,未熟児をふくめた先天性疾患に研究対象をもとめてきたのは,至極当然の帰趨であろう.
ところで今回の症例が生命をとりとめたことは,読者諸氏も気づかれますように,ある程度の幸運が重なつていたということであります.すなわち,助産婦→小児科医→小児外科医という縦の連絡が円滑に運ばれ,くわえて両親の協力的な態度がうまく調和して成功した症例である.しかしながら,思いかえしてみるとこれが幸運の連続であつたと考えている間は,反面死への恐怖から脱出したということにはならず,残念ながら悲しむべき現実であるといわなければなりません.そこでこの状態を改善するためには,まず助産婦さんに先天性腸管閉塞という病気があり,手術によつて救われるのだということを認識していただく必要があります.おなじようなことは小児科医にもいえることです.消化管閉塞〜狭窄の頻度,症状,予後などに関しては外科の先生におまかせして,新生児が生後まもなく頻回の嘔吐をきたす疾患にはどんなものがあるでしようか?まずありふれたものとしては羊水の嚥下,新生児メレナがあります.
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