特集 近代化する病院組織と医師
診療機能の分化が生む裏方医師の問題点
麻酔科医の立場から
美濃部 嶢
1
1中央鉄道病院麻酔科
pp.30-33
発行日 1974年9月1日
Published Date 1974/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205429
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はじめに
医学の進歩と医療の発展により,病院組織が近代化され,診療機能の細分化によって多くの専門分野の医師が誕生してきた.
わが国における麻酔科の独立分化は,昭和27年に東大に麻酔学教室が開講されたのを基として,昭和35年には特殊標榜科目としての麻酔標榜医制度が,また昭和38年には麻酔指導医制度が定められ,制度としても完成されたわけである.麻酔科医の誕生は,従来外科系医師がたんに手術中の患者の痛みを除くためにかけていた片手間の麻酔では,侵襲の大きい手術での患者管理が不可能となって生じたものである.したがって現在では,外科医は手術に専念し,麻酔科医は患者の全身管理を第一義的に考えて疼痛の除去,良い術野の提供をもあわせ行なっているのである.
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