連載 新しい助産婦のモラルをたずねて・3
助産の特別な点
大島 正雄
1
1母性科学研究所
pp.42-45
発行日 1961年7月1日
Published Date 1961/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202167
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.犠牲と奉仕
機械を相手に仕事をしている場合は,何時間労働ということをはつきり決め,それに対する適正な賃金や,休息の規定を決めることが出来ます.所が相手が人間であると,このようにはいかないものです.
分娩は短時間に簡単に終るものもありますが,幾日も激しい心労を必要とするものもあります.分娩監視料の規定があつて1時間いくらと決めたとしても,金銭に係わらぬ場合があります.年末が分娩予定日の妊婦を抱えている場合,年内に生れてくればまだしも,これが1週間,10日と延長すると,その間は全く釘づけにならねばなりません.新年の顔合せも,外出も何かと束縛されます.心から人並にのんびりと新年を迎えることは出来ません.やつとの思いで,芝居でもみて,しばらく己を忘れていると,お産の呼び出しがかかり,後髪の引かれる思いで馳けつけなければなりません.えてしてこんな意地の悪い廻り合せになるものです.
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.