紀行記
信濃路の印象記
増澤 志げ子
1
1日赤産院助産婦学校
pp.41-44
発行日 1961年1月1日
Published Date 1961/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202060
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まだ夜の深い午前5時,中軽井沢駅に降り立つ.外に踏み出してその寒さに全身をガタガタ震わせ乍ら,出迎えのバスに乗り込み宿に向う.街はまだ真夜中の様だ.あまり早い到着にまだ寝ぼけている様な案内嬢,平服の運転手,国際都市軽井沢の名には少々不似合な感じだつた.が私達の到着時刻を考えれば文句をいう筋合いもない.
ライトの中に銀色の線を引いて降る雨.今になつて今日は雨かもしれないという不安がぼんやりした脳裏に湧いて来た.長い間楽しみに待つた旅行はどうしても晴天であつてもらいたかつたのにと天を恨んだりしつつ宿に着く.
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