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American Urological Association(AUA)が主催するAUA Annual Meeting 2024が2024年5月3〜6日に米国のサンアントニオで開催されました.毎年2月に米国のカリフォルニア州サンフランシスコで開催されるAmerican Society of Clinical Oncology Genitourinary(ASCO GU)Cancers SymposiumとAUA Annual Meetingの前後に,弘前大学泌尿器科(以下,当科)では必ず共同研究先のSanford Burnham Prebys Medical Discovery InstituteのYu Yamaguchiラボ(カリフォルニア州サンディエゴ)とリサーチカンファを行います.通常は学会が終わってからサンディエゴに寄るのですが,今回は日程の都合上,先にサンディエゴに寄り濃厚なディスカッションを行いました(写真1).筆者も含めて当科からこれまで5名も留学生を受け入れていただいております.現在留学中である成田拓磨先生からヒアルロン酸分解酵素Transmembrane protein 2の機能・構造解析についてのお話があり,改めて生体におけるヒアルロン酸代謝の重要性を認識しました.サンディエゴは年間を通じて厳寒酷暑がなく,湿度も低く非常に快適な地域です.リサーチカンファ→リフレッシュに釣り・野球観戦・寿司というのがお決まりのパターンとなっています.今回はダルビッシュ有先発→松井裕樹中継ぎという最高の試合を観戦できましたが,ホットドッグとビールだけで5000円という円安状況を実感させられました.
さて本題の学会ですが,サンアントニオはテキサス州にある都市であり,全米第7位の人口を有する州内第2の都市です.亜熱帯性気候に属し,5月の平均最高気温は30.6℃と,サンディエゴから向かった身としてはかなり蒸し暑く感じました.幸いホテルが会場であるHenry B. Gonzalez Convention Centerから歩いて5分の位置であったため,スーツを着用してもそれほど苦しむことはありませんでした.今回は7演題採択していただき,幸せなことに発表のない日が1日のみというスケジュールでした.当科全体としては16演題採択され,総勢14名(釣り組・新人の国際学会体験含む)の大人数での参加となりました(写真2).筆者と畠山真吾教授以外の参加者は一足先に最終日前日に帰国したため,特に最終日は2人で6演題をこなすハードスケジュールとなりました.自分の発表の合間に後輩の発表を見学し,ポスター閲覧による今後のための情報収集をしていたら残念ながらほとんどPlenary sessionを拝聴することができませんでした.印象に残ったポスター発表に,豚の尿管から生食を注入し,どこまで腎盂内圧を上げると腎静脈の血液培養から細菌が検出されるか検討したオーストラリアからの報告がありました.腎盂内圧が60mmHgを超えると細菌が腎静脈にばら撒かれるとのことでした.経尿道的尿管結石破砕術後の敗血症は時に致命的になりうるので,非常に参考になる報告です.また,ロボット支援膀胱全摘除術+体腔内尿路変向術(回腸新膀胱造設術)の際の尿管ステント留置は,少々手間がかかるので可能であれば省略したい手技ですが,この必要性を検討したイタリアからの報告がありました.ステント非留置群では尿管吻合部関連の合併症が有意に多く(23%vs. 6.0%,P=0.02),残念ながらやはり省略はできないようです.ほかにもクリニカルクエスチョンに答えてくれる演題が多くありましたが,紙面の関係上すべてを紹介できませんので,詳しくはAUA2024ホームページのAUA2024 ON-DEMANDをご参照いただければと思います.
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