特集 地域におけるターミナルケア
長野県信濃町のターミナルケア
龍野 由子
1
Yoshiko TATSUNO
1
1長野県信濃町役場保健衛生課
pp.627-630
発行日 1993年9月15日
Published Date 1993/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900878
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◆はじめに
「在宅ケア」の単語だけは今,日常用語となった.その延長線上の“ターミナルケア”の言葉も,在宅を前提として割合すんなりと使われている.言葉の内容はどう解されているだろうか.「自宅療養」そして「在宅死」など,見た目での治療施設以外の場で,自らの努力と家族などの支援による身始末をするイメージが大方であろう.それが,当事者のアイデンティティであるか否かはこの際重きはおかれてはいまい.多くの調査結果は一様に,人々は住み慣れた家(地)で過ごしたり,家族とともに在りたい,ターミナルにあってはそこを終焉の場としたい,と回答していると報告されている.人々は,“在宅”を求め,あこがれ,常識として共有しはじめた.いつの間にかゴールドプランの方針を受け入れているようだ.調査では対象者の多くが,“願わくばそのようにありたい”との思いを調査票に託したのだろう.看ていただく絶対的受身に置かれたら,人々は,看る人への気兼ねや心くばりの意識が先行してはたらき,これが調査票ににじみ出た部分もあろう.だから100%が在宅ターミナルケアを望む結果にはならない.本音を調査票にぶつけている人々もいるはずである.
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