助産婦レポート
産科における分娩の実態から
飯塚 八重子
1
1大阪赤十字病院
pp.41-44
発行日 1960年11月1日
Published Date 1960/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202024
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はじめに
分娩室で遭遇する産婦経過を観察していると,産婦の疲労から起つた腹圧微弱及び陣痛微弱,また胎児の切迫仮死や仮死児が多く,このいずれかに属するものが全体の過半数に現われる様である.また,これらの経過を逆昇つてみると,分娩誘導が案外に多く,昭和34年10月1日から11月22日迄の分娩数をみると,誘導例101に対し,自然例107という結果が出た.これは誘導したものが全体の半数近くにもなつている.これ等は,何らかの理由で誘導の必要が生じたとすれば,一般に分娩には意外に人工的操作の必要が多いということが予想される.また当院で遭遇する分娩が,母児に及ぼす影響をみても,分娩が自然経過を取つてスムースに終了しないものが,後に掲げる統計を観ても比較的多く出て来ている.この様な結果が出ることは,私達の産婦の取扱いに何か反省すべき点はないであろうか.特に疲労性微弱陣痛が多い点は,分娩第1期の看護の重要性が叫ばれていることから,私達の看護の面を今少し再認識する必要がある.そこでここに分娩が母子に及ぼす影響を実態調査することによつて,その結果から今後の産婦の取り扱いを反省し,合理的な看護を行なうことによつて当院入院産婦の安全に少しでも役立てたいと思いこの研究をとりあげた.
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