特別寄稿
イギリスにおける「誘発分娩」の見解と実態
高橋 浩美
1
1開業助産婦グループ・スペシャル・デリバリー・ミッドワイフリー・プラクティス
pp.674-677
発行日 1994年8月25日
Published Date 1994/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901081
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誘発分娩に対する考え方の違い
先進諸国間における国際統計比較をみると,各国の周産期死亡率,妊産婦死亡率に大きな開きはないようですが,その内容としての産科医療のあり方は,各国間においていろいろな違いがあるようです。「分娩誘発」はそれらの違いのなかの1つと思われます。現在の英国での誘発分娩に対する一般的な考え方は,日本と比較した場合どちらかというと消極的で,医学的適応がはっきりしない場合には受け入れられにくいものとなっています。
基本的な考え方として,分娩誘発は出産の安全性を向上させるための一手段であるべきことから,それが周産期死亡率や妊産婦死亡率の低下に貢献しない限り適用されるべきではないとされています。要するに,誘発分娩がその母児にとって自然に任せる以上に利益があると予想されない限り,行なわないというのが原則です。
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