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妊婦と電話
遠
pp.44
発行日 1960年8月1日
Published Date 1960/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201969
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御他聞にもれずアパート暮しで何かと不自由をしているが,なかでも電話がなくてねという話なので,電話などない方が無難でいいじやないかと解せなかつたが,きいてみれば無理もない.奥さんが臨月で,いざ鎌倉という時に助産婦への連絡に困るという次第.御主人の方が一散にかけて10分くらいというのだから,昼間ひとりの時に産気づいたりした時は思いやられるというのだが,そこは何とか公衆電話とか御近所のそれで間に合せて臨機の処置がほしいところである.しかし,そんな時でも,仮りにお隣りの部屋の方に頼むとして,突嗟に果して助産婦さんの電話番号が言えるかどうか.まして呼出しの場合などは慌てて要らぬ手間をとる事になりかねない.やはり,急場のために,所要の連絡事項をメモにしたものを幾つか用意しておきたい.これは外出の途中でも,どんな場合にでも直ぐに利用できる他人へのお願い手段である.妊婦なりその家族に案外忘れられている事がら丈に,何事にあれ「急」のことに馴れている筈の助産婦や医師の事前のPRがほしいもの.妄言多謝.
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