Coffee Break
患者からの電話
蓮井 良浩
pp.57
発行日 1996年3月30日
Published Date 1996/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901720
- 有料閲覧
- 文献概要
私は週平均3日間は当科外来を担当し,他の公立病院を合わせると4日間外来に従事することが多い。先日,当科の新患日に外線電話が鳴り,私が取ったところ,再診患者からの電話で,IVPを予約したいという内容であった。私は電話での予約は受け付けていないことを説明したが,途中で電話は切れてしまった。2回目の電話があり,1回目の電話の非礼を謝ることもなく,自分は単腎の結石患者で腰部が少し重いからIVPを撮れとのことであった。私は診察,超音波検査をしたうえで,必要なら緊急採血やKUBを撮ること,もしIVPを撮るなら次回となることも説明した。しかし,患者からの納得は得られず,電話は切れてしまった。この間約20分間で,ちょうど研修医が教授のポリクリ患者の膀胱鏡を施行している時で,私は研修医からBTの確認を頼まれており,その患者を待たせる結果となってしまった。
検査・診察におけるインフォームド・コンセントは得られない場合も往々にしてあることを実感し,たとえもっと時間をかけても私には電話の患者を納得させることはできないと思われた。膀胱鏡を受けた患者には時間がかかったことを納得してもらえたが,私としては自分の無力さを思い知るとともに,後味の悪さだけが残った外来日であった。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.