今月の言葉
助産婦の養成問題
谷口 弥三郎
1
1日本母性保護医協会
pp.5
発行日 1960年5月1日
Published Date 1960/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201898
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私共は数年前から助産婦の養成,その他の問題点について色色と各方面の御意見を聞いているのでありますが,最近,各地の助産婦養成所における入所希望者が極めて少い事,又助産婦開業中の方々においては後継ぎがいないので困つていること,又病院などにおいて新たに採用したいと思つても若い助産婦が不足しているため困難する等の申出にあうのでありまして,この様に助産婦志望者が少いのは,一つは国立病院などにおいても職制中に助産婦なる者がなくして看護婦に入れているとか,従つて人事院の定める助産婦の俸給も比較的少い等という理由で助産婦に対する魅力が少い結果ではなかろうか.殊に現在助産婦になるには6,3,3制度の高等学校を卒業してから看護婦養成所に入り,3年修業後同所を卒業してから更に助産婦養成所に入所するためなおまた6カ月以上を要し,その年数においてはほぼ薬剤師,その他の大学修業過程と同様であるから,助産婦を希望する者が少ないのではなかろうかとも言われている.従つて,高等学校卒業後直ちに3年制度の助産婦学校を創設して学術共に備つた助産婦を養成し,卒業後,国家試験を行う事とすれば,現在の制度と変りのない助産婦が出来る事と思う.殊に最近,我が国における分娩は自宅分娩が減り,施設分娩が著しく増加しつつあるが,地方にては助産婦不足のため困つている所もある様に見受けられる.
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