今月の言葉
助産婦の大問題
S・K
pp.9
発行日 1954年10月1日
Published Date 1954/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200701
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戰後,特に近年になつて,出生の数が著しく滅つてきた.それに加えて,病院,産院などで出産をする人々の数がふえてくる.これでは,開業助産婦の仕事は減るばかりである.助産の業だけを以てしては,どうにも生計を立てて行く見込みがたたないと悲鳴をあげる助産婦の数も日増しに多くなつて行く.まことに助産婦にとつては由々しき重大問題である.
出産数が著減したとはいえ,まだ年間200万にちかい数を数えることができる.そして,その半数以上は助産婦が分娩を取扱つていることに間違いはない.すなわち,我が国における出産に関しては,今日もなお,助産婦の重要性を無視することができないのである.しかも,このことは今日だけのことではない.少くともまだしばらくの間は,日本の助産婦は,日本中の出産に対して,依然として重大な役割を果さなければなるまい.助産婦の重大なる責任は,そう急速に消えさるものとは考えられないのである.
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