随筆
日本の家族計画運動における今日の問題と明日の課題—その2
奈良林 祥
1
1都立保健婦助産婦学院
pp.36-38
発行日 1960年3月1日
Published Date 1960/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201872
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受胎調節指導の最初から大きな見落しがあつた:——
日本人は子供を生みたがらなくなつた—→受胎調節の話を聞いてその理クツも知つている—→それでいて忠実に受胎調節を実行している人達はほんのすこししかない,このおかしな現象がなぜ起きてきたのか,つまり,受胎調節の指導が思うように効果をあげていないのはなぜか,という事を掘り下げていくといろいろな問題が浮かびあがつて来る.予算が少ないということも問題の1つだろうし,指導員の手当ての少なさも出て来るかもしれない.もつと悲観的に,日本人の物の考え方のあいまいさをその原因としてあげることも出来よう.だが,こういう問題は暫く措くとして,事柄を受胎調節の指導という面に限つて考えるならば,従来の指導法には(集団,個別を問わず)その最初から大きな見落しがあつたから,だからそのあといくら指導に精を出しても効果があがらなかつたのだと,私はそう判断している.
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