特集 家族計画
家族計画指導の諸問題
森山 豊
1
1東大
pp.16-18
発行日 1959年5月1日
Published Date 1959/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201675
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1.家族計画指導は壁につきあたつたか
近頃いろいろな方面から「家族計画はまがり角にきている.このままではこれ以上の普及を望めない」という声をきく.そして,家族計画指導がまがり角にきて,頭うちの状態にある理由として人工妊娠中絶の普及があげられている.このことは,昨年12月,東京において開催された第3回家族計画普及大会でも.多くの人から叫ばれたことである.これは,同大会のシンポジウムに「人工妊娠中絶と不妊手術」なる題がえらばれていたことからも察せられる.はたして,多くの人の言うように,家族計画指導は,ほんとにまがり角にきており,壁につきあたつているであろうか.また,家族計画普及をさまたげる最大原因は,人工中絶にあるであろうか.これは,よく考えてみるべき問題である.
家族計画指導は,生活指導の一部をなすものである.戦前の「生めよふやせよ」の考えとか,妊娠や出産は自然なもので,これに人工を加えることなどをあまり考えなかつた人々に,計画出産,家族計画の意義を徹底させるには,相当の年月を必要とする.夫婦生活,社会生活への1つの革命でもあるから,これを国民の常識とするまでには長い時間,しかもあらゆる方面からの指導を必要とする.
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