焦点
家族計画の今日的意義と方法
荻野 博
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1国立公衆衛生院家族計画室
pp.494-495
発行日 1964年9月15日
Published Date 1964/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202879
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日本で,家族計画ということが,声を大にして言われはじめてからすでに10年以上を経過した。戦後の社会変動とともに,家族計画も短期間のうちに,めまぐるしいとさえいえるほどいろいろな問題をともないつつ発展,展開してきた。いろいろなかたちで家族計画に直面した問題をならべてみると,人口問題,産児制限,人工妊娠中絶,受胎調節,受胎調節実地指導員制度,特別普及対策(生活保護,低所得者),優生保護法,母子衛生,家庭づくり,人づくり,新生活運動,農村問題,人手不足,新婚者対策,婚前指導,性教育,一人っ子,不妊手術,新らしい避妊薬と器具,マスコミ,結婚生活のカウンセリング,行政と民間活動など,ただ文字をならべるだけでも,まだまだあり,それらが互いに関連しつつ短時日のあいだに問題を提出するのであるから,かんたんに解説もできなければ,問題の解決も容易ではない。複雑で手がつけられないようにも見えるが,根本的な家族計画の考え方,進め方は変わらないし,そうかんたんに変えるべきものではない。
あれやこれやを同時に考えてばかりいて,すくんでしまっては何にもならないが,最近問題となっている点をすこしひろい出してみることで現在の家族計画の進め方のポイントが輪郭として浮べば幸いである。
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