県下の産院紹介
医師と助産婦共同経営お三の宮産院
中山 ロク
1
1お三の宮産院
pp.28-29
発行日 1960年3月1日
Published Date 1960/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201870
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お三の宮産院は昭和31年5月に開院したのであるが,その設立の動機は横浜市に於ける官営の助産施設,例えば神奈川産院(県立),横浜産院(市立)の大規模な組織に圧倒されて,市内の助産婦の取扱数が減少の傾向にあつたので,横浜市南区助産婦会員54名の有志が寄り寄り協議して,設備のある産院をつくる機運にあつたところ,医療法人佐藤病院の分院,ベッド数20床の提供を受け所謂オープンシステムの制度で発足したものである.開設当初は前途に対する不安のため,有志の数は予期したより少なく11名であつた.それでも相互の協力と完全なる衛生設備と愛情ある取扱いをモットーとしたので,日を追つて取扱数も増加し,現在は40,50を数えるに至つている.開設以来3年と6カ月を経過しているが,その間も振り返つて見るにいろいろの困難はあつたか,その種の施設にたずさわつて行くということは,助産婦として将来進んでいく一つの方向であろう.直言すればその様な相互扶助の形式でゆけば,現在の医療から落伍する恐れがないと思う.その種の組織の最も大事な点は,人の和と合理的な経営であろう.その2つの点がうまくゆけば,全国的にその様な組織が出来て立派に運営されていくことと思う.その種のものが出来ても失敗に終わつているのは以上の2点がうまくいかないからである.
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