口絵
顔面の披裂
川島 弥
1
1昭和医大整形外科
pp.21-26
発行日 1960年3月1日
Published Date 1960/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201868
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顔面の先天性奇形である披裂形成には,唇裂,口蓋裂,顔裂,鼻裂,舌裂等があるが,前2者が一番多くみられる。唇裂のうち,上唇の人中の側方に披裂のあるのを特に,兎唇,みつくちと呼んでいる。人中の真中に披裂のあるのは,正中唇裂というが,極く稀にしかみられない。兎唇は,その70〜80%は口蓋裂を合併しているが,ごく稀には顔裂,鼻裂,舌裂等を合併することもあり,又身体の他の部分の奇形や変形を伴う場合もある。
新産児の0.13〜0.24%に兎唇や,口蓋裂の患児がみられるが,一般住民中の患者は0.05%と減っており,兎唇,口蓋裂患児の死亡率の高いことをものがたっている。殊に口蓋裂を伴った兎唇は乳をうまく飲めないので,栄養不良になったり,気管枝炎や肺炎,中耳炎に罹り易いので注意を要する。
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