研究
三重県支部会員の取り扱つた未熟児出生の統計
金森 逸子
pp.16
発行日 1959年12月1日
Published Date 1959/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201804
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統計をお読み戴く迄に一寸三重県を御紹介申上ます.そして拙い研究が少しでもよく判つて戴き度存じます.人口147万,面積5,700万キロで伊勢,志摩,伊賀,紀伊の一部からなつておりまして,海岸線の半分は伊勢湾の汀,半分は太平洋に面し,鈴鹿,大台,紀伊山脈を後にひかえ,広大な伊勢平野に恵れております.海岸に添つて北から,鋳物で有名な桑名,全国6位を誇る貿易港をひかえる四日市は工業が目覚しく発展して居ります.津市は県庁の所在地,大学あり,安濃津城趾あり,阿漕浦にのぞむ街は誠に美しい所であります.海岸,山村,工業地帯にと住む人々の出産について916名の助産婦が未熟児について調査をしてみたのでございます.未熟児出産が家庭婦人に多いのは工業地帯に住む母体の健康が悪いのではなかろうか.農業婦人に多いのは過労によるものと見られます.未熟児出生の一大原因である妊娠腎も非常に少く,又未熟児出生後の死亡の少いのは助産婦の指導方法の進歩した事を表しております.助産婦として完全な未熟児の指導は勿論必要ではありますが,未熟児の生れない様に指導する事が最も大きな仕事であります.妊娠中の疾病栄養,過労等については完全なる指導をし成熟児ばかり生れる様努力したいと思います.
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