研究
未熟児養護と分娩直後の新生児取扱による影響
藤原 正
1
1岡山県津山助産婦会付設福祉助産院
pp.18-20
発行日 1959年12月1日
Published Date 1959/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201805
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わが国10数年来の人口政策と母子保護の見地から計画出産の普及は健康で優秀な子供を生むこと,そして健康に育成することを意味するものでありますから,妊娠,出産,哺育の指導の責任は重大かつ慎重で最良でなければなりません.私共助産婦も常に新らしき学説,技術を修得し,国民保健に寄与することに努力いたしております.
私は昨年県助産婦再教育講習会で,分娩直後の新生児取扱による影響という講義を聞きまして直に実行して研究し統計を取つて見ました.未だ日が浅くて少数ですが,御報告いたします.取扱い方法は,胎児娩出後直に児体足部を保持し,静かに逆位懸垂し,羊水の気道内吸引を防止すると共に,気道内異物を除去し,後児体の位置を可及的に母体の子宮より低位に臥位せしめ,観察します.新生児は,脈,呼吸共に調律が早く,筋肉は緊張の度を増し,皮膚の色は鮮紅色を呈し刺激に対する反応も著明活発となり,澄んだ初声を上げます.若し啼泣せず,たとえ泣いても異物感のある声の時は再度静かに逆位懸垂吸引をします.此の操作は静かに取扱う注意が大切です.又保温にも十分注意を要し,臍帯内の血液を児体内に流入せしめるよう臍帯の許す限り母体の位置より低位にし胎盤の剥離を待ちます.胎盤娩出時は胎盤を清潔な膿盆に受け,高くし,胎盤絨毛間腔及び臍帯内の血液を十分に児体内へすごきつつ送血して臍帯を結紮切断します.此の操作のみでも血液は相当量児体内へ送血出来ます.
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