講座
小児科医より見た新しい助産婦のあり方
友枝 宗正
1
1国立栃木病院特殊小児診療センター
pp.47-51
発行日 1959年4月1日
Published Date 1959/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201667
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子どもの保健と疾病について,真剣に且つ泥まみれになりながら仕事を多年しておりまして特に最近感じますことは,わが国のように経済的に恵まれないところでは,結論として福祉国家として社会保障制度が早く確立してほしいということですが,それも急には期待出来るものではないようです.
一方化学療法の進歩は急性疾患の治療を非常に容易なものにいたしましたので小児科領域の診療内容はすつかり変り,以前のように夏季の消化不良性中毒症,冬季の肺炎といつた入院治療は全く影をひそめ、それに代つて現在小児科医にとつて虚弱体質の改善,脳及び神経障害乳幼児の早期治療及び特殊保育の指導,未熟児の特別保育,乳児院及び保育所の健康管理などが新たに力を入れなければならないものとして登場しております.これらの仕事は医師ばかりでいくらしようとしても限界があり,成績もあがりません.また人口政策として実施計画が普及されつつあつて分娩数は減少し,しかも病院分娩が多くなつております.特にあとの傾向は助産婦さんにとつて生活権の問題として深刻なものとなつております.しかし先に記した未熟児及び脳及び神経障害乳幼児の問題は予防対策として団体の保護につながると同時に異常分娩との関連性よりどうしても助産婦さんの協力にまつ問題です.
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