Proposal
産科医と助産婦のあり方について
堀口 文
1
1慶応大学産婦人科学教室
pp.509-511
発行日 1964年7月10日
Published Date 1964/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203075
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助産婦の不足を補うため,助産婦にもつと診療の範囲を認めて優遇し,助産婦不足の解消に役立てたいという提言,および,助産婦の妊産婦,新生児の保健衛生指導方面の強調また助産婦の立場として助産婦をもつと向上させたいという批判などがあり,興味深く感じているので私共の考えも述べたいと思う。
先ず第一に,新らしい助産婦の教育制度であるが,これは新らしい時代に,ふさわしく教育程度および,その活動範囲が広められており助産婦の実力,および,地位の向上に,また医師や患者にとつても非常に喜ばしいことと思う。家庭分娩をする人が,少くなつてきた現在において,助産婦が,産前,産後および新生児に対し保健衛生の指導をするようになつたのは,保健婦とはまた違つた点も加味され,非常に意義あることと思う。ただし,産科医との協力という点で,簡単なる裂傷の縫合とか静脈注射等までさせることに対しては,行き過ぎの感があるように思われる。それを許すとなれば,それらの行為に伴つて生ずるあらゆる事態に対し責任を持たねばならなくなり,助産婦自身にとり大変なことと思う。一応担当の医師がある場合は,必らず医師の手によつて行われるべきであり,状況によつては,医師の監督の下で,許されるべきであろう。
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