研究
病院勤務の助産婦が家庭への出張分娩に於ける体驗
足刈 芙仁子
pp.12-13
発行日 1957年9月1日
Published Date 1957/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201332
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私の現在勤務している病院は,街でもない又村でもないという所,まあ片田舎である.診療に来る患者の半数は,農業の家庭が多い.そして分娩にしても病院には罹りたいが,入院分娩が出来ないと云う人が多い.それで町内に限り,出張分娩をしているのである.分娩予定日が4月14日となつている妊婦が4日前に診察に来た.別に外診の結果異常なしで児心音も正しく,しいていえば腹囲等小さく82cm,子宮底29cmである.大体に於いて,予定日を1〜2週間位超過するだろうと思つた.病院に於いて妊婦の診察は一応助産婦である私達が,診察してその後医師の再診である.患者がその診察に来て2日後夜10時半電話にて15分に40秒の陣痛らしき腹痛があるとの事で経過を観察する為と励ましの為医師に報告せずにトラウベとゴム手袋をもつて産婦宅へ(病院より徒歩3分)
一応診察外診の結果,尿が充満していた為,児頭は固定してなく恥骨上にてふらついている.直腸診をしたら子宮口一指である.しかし腟部は,非常に柔軟にふれた.胎胞形成もなく只陣痛発作時に少しくふれる程度であつた.それから産婦に排尿させ(その間分娩の用意)家庭で入用々品を揃えた.排尿後の陣痛は12〜13分に40秒である.児心音異常なし,児頭稍々固定,子宮腟部が柔軟に触れたので早いかもしれないと,直ぐに帰院,11時半である.
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