講座
骨盤計測(2)
鈴村 正勝
1
1東大産婦人科
pp.15-21
発行日 1958年4月1日
Published Date 1958/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201452
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Ⅴ.レントゲン計測法
レントゲン線による骨盤計測には,側面像,入口面像及び立体像によるものがある.立体撮影法は,1906年から行われており,多数の研究発表がある.その中で,米国のCaldwell,Moloy等の分娩機序についての研究がすぐれている.しかし,立体撮影法は,特別な機械を必要とすることが第一の難点であり,判定に主観的な要素が入ることが第二の欠点と云われており,現在一般に行い得るまでにはなつていない.機械の改良と,判定の客観化によつて,漸次一般化されるものと思われる.私達は,側面像と入口面像との両者を併用した.
入口面像は,児頭の嵌入のために大切な入口面の形及びその横径が明らかにうつし出されるので便利である.すなわち,骨盤入口の横径がせまいとか,真結合線は大きいが,横が狭い入口面であるから,児頭は入口面からすでに矢状縫合を前後径に一致させて入つて来るであろうとか,入口面の後半又は前半の形が悪いから,児頭は嵌入困難であるとかいうような変化は入口面像でなければ分らない.また,坐骨棘の突出も入口面像でなければ発見し難い.しかし,分娩予後判定に最も大切な因子である真結合線を正確に計測するのには,側面像がすぐれている.真結合線は,骨盤腔の前後径の中で最小であるために大切なのであるが,後に述べるように,真結合線より短い最小前後径が骨盤濶部にある場合がある.この場合の最小前後径の計測には,側面像でなければならない.
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