講座
骨盤計測の意義
岩田 正道
1
1三井厚生病院
pp.7-11
発行日 1953年12月1日
Published Date 1953/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200494
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分娩の難易と重大関係がある骨盤腔の大小,形状如何を知るための骨盤計測法に内,外計測法とレントゲン計測法の3者があるが,このうち從来ひろく用いられ,かつ実施が比較的簡単な外計測法の意義については以前から兎角の議論があつた.本邦婦人の骨盤外計測数値については古く明治年代から生体又は妊婦につき或は死屍についての計測値が発表されておるものの,その数値は必ずしも一致していないのみならず,計測上は明かに狹骨盤を想わしむるにも拘わらず成熟兒を安産するものも尠くなかつたことから一時は外計測法に殆ど意義を認めないと理論する者さえあつた.
内計測法に用指,用器の2法があるが,これ等による計測値を毎常信頼し難いのみか,実施上に,不便,不利の点もあるため現在では殆ど顧みられておらぬし,レントゲン計測法による値は最も信頼しうるにせよ広く行い難いのを憾とする.よつて從来の外計測法が眞に無意義か或は意義の極めて少いものとすれば,助産婦諸姉はもちろんのこと,多くの実地産科医諸氏とても骨盤腔の大小形状を豫め知ることなくして分娩介助乃至監視に臨むわけで,ことに初産婦ではその経過に多大の不安を感ぜざるを得ないこととなる.尤も近頃になつて本邦に狹骨盤と認むべきものがないといい,この項目を産科学から抹消せよとまで説く者がある.
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