特集 不妊症の診断
男子不妊症の診断
志田 圭三
1
,
浦野 悦郎
1
Keizo Shida
1
1群馬大学医学部泌尿器科学教室
pp.513-518
発行日 1970年6月10日
Published Date 1970/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204226
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Ⅰ.男子不妊症の病態
1.男子妊孕性の正常限界
男子側妊孕性の第1条件としては,活発に運動する精子を多数保有する精液を異性体内に送入しうることがある。理論的には受精に要するのは1コの精子であるが,実際的には活動精子の多いほど妊娠率が高い。しかも,妊娠成立は男子側の条件のみでなく,女子側との相関によつて決定されるもので,完全な無精子でない限り,妊孕性の限界に一線をひくことはできない。精子所見と妊娠率との相関に関する臨床集計においてしばしば精子所見がある程度悪化すると妊娠率が急激に低下することが報告されている。臨床上,これを正常の下限と考え,それ以下の精子所見を示すものについて,不妊の責任が男子側もあると判定する習わしとなつている。
正常限界については多少意見のことなる多くの報告があるが,本邦人については次のごときものと考えて差支えないようである。
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