書評
—土井 正徳 著—「ナースのための精神衛生」(第2版)
TOS
pp.53
発行日 1957年8月1日
Published Date 1957/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201324
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精神衛生ということばは,たとえば解剖学とか内科学とかいうことばにくらべて耳新しいひびきをもつている.そしてもしこのことばがお教室の講義で何度か耳を通り抜け,試験が終れば忘れ去られてしまうだけのものであれば,そんなものはあつてもなくてもよいものであろう.
試みに広辞苑で「精神衛生」という項を引いてみると「精神的欠陥または異常がある場合,それを指導矯正して正常な状態に回復させること,および更に進んでは,所与の精神状態をより健康な状態に導いて行くことを課題としている理論および実践的方法の総称.」という説明がでてくる.もし本書がこの説明のように,精神的欠陥または異常のある患者を,単に対象的に指導矯正する理論および実践的方法を説いているのであれば,他の類書と異るところのないつまらない本になつていたであろう.
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