連載 三治郎の世界・3
プラハの黄昏
南川 三治郎
pp.169
発行日 1998年3月10日
Published Date 1998/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900785
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一昨年春,僕はクーデンホーフ・光子の足跡を追ってチェコの首都プラハに旅をした.彼女は明治25年に日本人で初めてヨーロッパ貴族に嫁ぎ,ジャポニスムの象徴的存在になり,香水「ミツコ」の名のもとにもなった黒い瞳の伯爵夫人である.
ロダンに「北のローマ」と称されたチェコの首都プラハは,「百塔の都」とも「黄金の街」ともいわれるだけあって塔が多く,ロマネスク,ゴシック,ルネッサンス,バロックなどの様式の石造りの建物が美しく建ち並んでいる.人通りが絶えた夜に石畳の歩道を歩いていると,中世の世界に迷い込んだような何ともいえない懐かしさをいだいてしまうから不思議だ。
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