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医学トピックス
pp.34-35
発行日 1957年1月1日
Published Date 1957/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201193
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○恙虫病のワクチン完成す
バクテリヤより少いがヴイールスより大きいリケツチヤーによつて起る恙虫症は,日本各地それぞれ独特の地方病で,死亡率が高くて(60〜70%)これのワクチンが作られることが期待されていたが香川県衛生研究所と岡山大学医学部の5年がかりの共同研究が実を結んで,新潟,秋田地方の恙虫病に効くワクチンを作ることに成功した.恙虫病のワクチンの製造がなかなか行われなかつたのは,これの病原体を沢山集めることが困難であつたからである.この度の共同研究はこれを見事に解決して成功した.
すなわち,ハツカネズミに麻酔剤の一種であるCPを4日間続けて皮下に注射したのち,病原体を腹部に注射すると,異常に病原体が増えた.腹腔内での病原体増殖が殊に顕著で,この腹水にホルマリン0.3%を加えてワクチンを作り上げた.香川県下で見つけた恙虫の病原体をハツカネズミに移し,その中半数にワクチンを注射して発病の状態を観察した.その結果ワクチンを注射しないハツカネズミは一匹残らず発病したのに比し注射した方は全然発病しなかつた.
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