先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
感染症とその化学療法
クラミジア感染と女性不妊
藤井 明和
1
,
岩崎 克彦
1
Akikazu Fujii
1
,
Katsuhiko lwasaki
1
1東海大学医学部産婦人科教室
pp.425-427
発行日 1986年6月10日
Published Date 1986/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207397
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I.クラミジア(Chlamydiae)とは
臨床的には,トラコーマ,封入体結膜炎,鼠径リンパ肉芽腫,オウム病等の病原体を含む一群の微生物である。宿主細胞以外での増殖が不可能である点(偏性細胞寄生性),代謝エネルギーの自己産生が出来ない点で,ウイルスと似ているが,細胞壁を有していること,DNA及びRNA両者を持つこと,蛋白の自己合成が可能なこと,また抗生物質に対する感受性を有していることなどから,細菌の特徴をも兼ねそなえている。群抗原による分類では,A群(C.trachomatis)とB群(C.psittaci)の2種に分かれ,前者が主としてヒトに寄生するのに対し後者は主としてヒト以外に病原性を有している。A群は更に血清型(型抗原型)によりA〜Lに分類され(亜型も存在する),A〜Cはトラコーマ, Lは鼠径リンパ肉芽腫,それ以外のD〜Mが本稿の主題となる性器疾患の原因となる1,2)。
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