講座
分娩数並びに受胎能力の季節的変動について
小林 保子
1
,
松岡 孝子
1
1賛育会病院
pp.40-43
発行日 1955年12月1日
Published Date 1955/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200967
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〔1〕野生の動物は大体春とか秋とかに,受胎する時期が定まっております.人類はいつでも受胎出来る様になっておりますが,それでも幾分はこの傾向が残っていることは容易に予想されます.私達が実際に分娩を取扱っていて,例えば1月2月或は8月9月頃は毎年分娩が多く忙しい思いをし,又5月6月頃は何時も暇である事を感じておりますが,之によって分娩数の季節による多い少いが毎年同じ様な傾向で繰返している事が解り,受胎は分娩の約9カ月前ですから,結局受胎し易い季節と,受胎し難い季節があると想像されるのであります.分娩数の季節変動を明らかにしておく事は助産婦の常識として又産院の経営上にも有意義であり,受胎能力の季節変動は不妊症の治療方針上,及び避妊法の参考資料ともなり得ると思われます.唯結婚の時期,避妊法等により分娩数は多少の変化を受ける事は充分考えられますので,これらの点も考慮する必要があり,上記の予想の確実な証明は困難ですが,私達は出来得るかぎり,正確を期して,調査しましたので報告します.
〔2〕昭和25年より29年迄に賛育会病院に入院分娩した妊娠10カ月の分娩10405例を資料としました.このうち初産は3833例で経産は6572例であります.先ず1カ月毎の分娩数の1日平均を計算したものが第1図であります.
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