講座
前熟児の生理
岩淵 庄之助
1
1慶応大学産婦人科
pp.20-23
発行日 1955年12月1日
Published Date 1955/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200963
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
前(未)熟児問題は産科,小児科,及び予防医学の面に一重要課題として最近注目を浴びる様になつて来た.ペニシリン,オーレオマイシン,クロロマイシイセチン等の抗生物質の出現は乳幼児死因中肺炎,腸炎等によろ死因を大分減少せしめたが,前熟児の死亡率は依然として高く,我国に於ける乳児死因の30%は前熟児であり,米国に於いてすら非常な高率を示す報告がある.前熟児は成熟児に比較して,生后1週間乃至10日間の死亡率が非常に高く,(10:1),前熟児死亡例の約半数は生后48時間以内である.この様に早期死亡率が特に高度であることは,前熟児に特異的である.このことから前熟児にとつては生后数日乃至10数日間の胎外生活に順応して生存力を獲得する期間の看護,哺育が如何に重大であるかが推測される.前熟児は成熟児に比較して形が小さいと云うばかりでなく,身体臓器の働きが非常に劣つているのである.即ち形態的にも,機能的にも完成されていないもの—前熟(未熟)な状態にあるものである.こゝでは特に前熟児看護哺育に特に大切と思われる点に就いて述べたいと思う.
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.