原著
前熟兒哺育に必要な環境
岩淵 庄之助
1
1慶応大学医学部産婦人科教室
pp.467-479
発行日 1955年4月10日
Published Date 1955/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201174
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
諸言
前熟児哺育問題は母子衛生中の一部門であり,産科,小児科の両科にまたがり,且つ予防医学にも関連し,最近医学界に一重要課題として注目されるに至つた。
我国に於ける乳児死因中で前熟因子は約1/3の高率を示すばかりでなく,肺炎・腸炎等の呼吸器系,消化器系の診断の許に死亡した大部分が,実際には前熟児であることは諸家の認めるところである。瀨木2)は乳児死亡統計に於いて前熟,以外の疾患に死因を記載された乳児死亡中,前熟児と附記されていたものが20〜30%であることを指摘し,Tyson3)は米国に於ける乳児死亡数の61%は前熟児であり,満期児は39%に過ぎなかつたと報告している等他の死因中に分類されたる中にも前熟因子に起因する死亡例が多数に含まれていることは明らかである。
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.