講座
前熟児の看護について
丸 エキ
pp.60-62
発行日 1956年1月1日
Published Date 1956/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200990
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妊婦は33才初産婦・養子を迎え4年目にて妊娠せるも後半期に至り少量の性器出血があり婦人科医の治療をうけしも全快に至らず,遂に妊娠第30週にて早産す.婦人科医の介助によりて自宅分娩す.新生児は前熟児にして哺乳力なく予後不良にて,家庭にての保育不能の為生後約18時間にて私の助産所に新生児のみ入院す.為に妊娠中の経過は不明であります.入院時の児の状態・身丈37糎,頭囲27糎,胸囲25糎,心音微弱.口周にチアノーゼ強く,呼吸は比較的正調にて泣声は身体の割に大きく唯一の望みであつた、直ちに佐久間式保温器に入れ,温度25度より30度までとする.同時に強制栄養開始す.酸素は保温器に装置随時使用す.幸い母乳多く体重1kg当り60カロリーは何とか保ち得た.医学的処置は図の通り生後22日,体重1500瓦までにて,全部打切り,自然の力を最高度に発起せしめるべく努力した.乳汁注入は,最高1日10回に及ぶ.第18日注乳後膣息仮死状態に陥り他に処置なく,逆さまに振り下げ,鼻,口より乳汁吐出し,九死に一生を得,心配した肺炎も起らず酸素の続行により平静となり,其後は事故もなく順調に経過いたしました.三水会にてポリエチレン管も頂き早速使用を試みましたが不慣れにて思うにまかせず旧式乍ら三号カテーテル使用す.尚児は鼻腔の異常にて左側は挿入し得ず終始右鼻腔のみより注入す.第26日よりゴム首に吸付く.
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