今月の言葉
助産婦と受胎調節指導
M
pp.6
発行日 1952年5月1日
Published Date 1952/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200095
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今回の國會に提出される豫定の優生保護法の改正案には,一定の資格ある助産婦は受胎調節指導を業となしうるとなつている。又厚生省發表の受胎調節普及實施要領案によると,やはり助産婦が醫師とともに,この實地指導を行うことになつている。いずれにしても,今後助産婦がこの方面に活動すべきことは決定的といえよう。助産婦の使命が,狹い意味の妊産婦の保護のみでなく,廣く母性の保健指導にもあるとすれば,助産婦が,受胎調節をすることは當然のことといえよう。たゞこの際大切なことは,今卒然として助産婦の前にもひろがらんとしているこの新分野に立つて,助産婦はどのような心構えをもつて,歩まねばならぬか,まずこの點をしつかりと身につけておくことである。今日わが國の各層で,受胎調節の必要性が叫ばれている。この點については,多くの人々が賛成しているのであるが,しかし,なぜ避妊を必要とするかの理由については,萬人必ずしも同じ思いではないようである。わが國民生活の貧困原因を人口過剰にありとし,いかなる方法をもつても,人口減少をはからねばならぬ,そのためには人工流産をどしどし行うべし,避妊も行うべし,という論者もある。又一家族が2人以上女兒を産むことは罪惡であるとさえいう識者もある。これらの議論は,數こそ多いと少いとの差こそあれ,戰時中に一家族5人以上兒を産まねばならぬといつた暴論と全く同じである。
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